2022年度理事長所信

はじめに

 日本は今、少子化に伴う人口減少及び超高齢化、⾧引く経済の停滞、大規模化する自然災害など多くの課題を抱えています。加えて、2020年にパンデミックを起こした新型コロナウイルス感染症は、世界を一変しました。私たちの生活は先行き不透明で、経済活動や一般生活にも甚大な影響を与えています。しかし、外的環境に悲観していても何も生み出すことはできません。「ピンチはチャンス」という言葉があります。ピンチをチャンスに変えるためには、前向きに物事を捉えること、そして「変える」という強い意志が必要であり、それを備えることでチャンスに変えることができるのです。


 何事にも前向きに挑戦し、失敗しても後ろを向かず原因を鑑みて少しずつ改善していく。その繰り返しが未来を切り開いていきます。メンバー一人ひとりが青年会議所活動・運動の意義を見つめ、私たちにしかできないことにひたむきに取り組み、行動していきます。


まちづくり

 天草は、美しい自然に恵まれ豊かな食、歴史ある文化、温かく人情味ある人々が多くとても素敵なまちです。しかし、人口減少の大きな波はこのまちにも容赦なく押し寄せています。2013年の創立50周年時に、天草の人口減少に歯止めを掛けるべく10年間運動する中⾧期ビジョンとして、あまくさ運動指針「人口革明」を掲げました。


 人口を呼び込む、人口を減らさない、人口を増やすという三つの大きな柱を目的として、継続して運動を展開してきました。メンバー一丸となって人口革明に取り組む中で、「あまくさの海の更なるブランド化」という方針を新たに追加し今日まで運動してきました。


 昨年、7月の第一日曜日を「あまくさ海の日」と制定しました。
これは、天草島内の人々が毎年一回自分たちの地域の海について考えてみる日と定義し、天草本渡青年会議所独自で制定したものです。天草の人口問題は、私たちだけが考え取り組んでいくものではなく、ひとりでも多くの市民と一緒になって取り組むべき課題であると考えます。青年会議所運動の本質は、市民の意識を変革することです。ひとりでも多くの市民に天草が抱える課題や、地域の魅力に関心をもっていただき、天草の未来は市民自らの手で創ることができるということを伝えることが重要と考えます。本年は、この「あまくさ海の日」の制定を行政や市民に向けて発信し、「あまくさの海の更なるブランド化」を推し進める運動を行います。


ひとづくり

 

 「AI」「ICT」「DX」、現代社会においてこのような言葉を目にする機会が非常に多くなりました。現代はかつてないほど変化している激動の時代であり、日本においては、技術の進化に伴い、2030年までに既存業務のうち27%が自動化され、結果1,660万人の雇用が代替される可能性があると言われています。子供たちが大人となって生きていく近未来は、今までと同じ考えや行動のままでは活躍できない時代になるのかもしれません。

 いつの時代も、子供たちは地域の宝であり、子供たちの笑顔はその地域の未来を照らす光となります。天草本渡青年会議所は、⾧年にわたり子供たちの未来を見据えた青少年育成事業を行ってきました。私たちが行う青少年事業とは、日常では体験することができないような、しかし、生きるうえで大切なことを身につける機会を提供し、今後天草を背負う子供たちに成⾧していただく事業です。私は、これからの子供たちに大切なことは「想像力」であると考えます。他者に対して想像力が働けば、それは思いやりとなり、社会情勢に目を向け世の中の動きに対して想像力が働けば、膨大な情報から何が重要かを判断し強力なアイデアが生まれるかもしれません。自分の未来に対して想像力が働けば、自分の人生を導き出す光となるでしょう。その「想像力」を養うためには、多感な時期に自分が知らない世界を体験することが重要と考えます。未知の世界を知ることで、自分の選択肢を増やし、自分の可能性を広げることができます。そのために、日常生活では体験できないような、私たちにしかできない青少年事業を展開します。


地域交流と広報活動

 青年会議所の運動は、私たちだけでは成り立ちません。地域との交流や関係諸団体との交流、各地会員会議所や友好JCである名寄JCとの交流、メンバーや諸先輩方との交流。様々な交流によって、私たちの運動は支えられています。天草本渡青年会議所が、更なる「和」を広げ、地域の人々への理解を深めていただくとともに信頼関係を構築し、地域に根ざした運動を展開するためにも、私たちが行う事業の目的や魅力、活動状況を発信します。

 また、天草の活気のシンボルとも言える「ハイヤ祭り」は全国に誇る郷土芸能です。天草本渡青年会議所は、ハイヤ踊りの舞台メンバーで構成される「明豊躍友会」を有し、ハイヤ踊りによって地域を盛り上げてきました。新型コロナウイルス感染症の影響により、この2年間はハイヤ祭り自体が開催できずに寂しい状況ではありますが、本年も明豊躍友会の技を継承し、更なる発展を目指します。


SDGsの推進と実践

 青年会議所は、2019年より日本で最もSDGsを推進する民間団体になることを目指しており、天草本渡青年会議所でもSDGsの運動を続けております。SDGsは私たちが目指す「明るい豊かな社会」と密接にリンクしており、私たちが実施する多くの事業がSDGsの推進に繋がります。2022年度もSDGsをより一層推進する団体として、この地域をより良くしていくことを念頭に、自身の身の回りで出来ることを実践します。そして、私たちだけではなく、他の団体や市民の方々も巻き込んでともに運動を進めていくことで、持続可能な明るい豊かな社会を築いていくことに繋がります。そのために、これまで培ってきた経験とノウハウを最大限に活かし、地域とともに誰ひとり取り残さない未来の礎を築いていきます。


会員拡大

 どんなに素晴らしい運動をしていても、会員がいなければ組織を持続することはできず、私たちにとって会員拡大は大切な活動のひとつです。しかし、会員拡大の本質は組織を持続させることだけではありません。

 青年会議所の使命は、青年に意識変革を遂げさせるための能動的な機会を提供することです。そして、会員拡大こそが最大の意識変革の機会と言えます。対外的な事業によって市民の意識を変え、地域に良い影響を与えることも重要ですが、対象者の市民が私たちの同志となってくれれば、その影響力は計り知れません。ひとりでも多くの同志を求めて、本年は担当委員会を置かず、組織全体で会員拡大を推し進めていきます。メンバー一人ひとりが青年会議所活動に取り組む意味を理解し、私たちの運動や魅力を伝え、理解と共感のもと入会に繋がるよう、メンバー一丸となって会員拡大を展開します。


組織運営

 青年会議所は20歳から40歳までの青年経済人で構成されています。1年ごとに役職が変わる単年度制となっており、年ごとの役職により様々な経験から多くの学びを得ることができます。委員会編成においても、二度とは同じ編成にはならないので、メンバーにはその時々の絆を大切にして欲しいと願います。私たちは年齢や職業が異なる集合体であるため、個人がもつ能力や魅力ある個性も多様で、それらを融合することができれば、組織は更なる進化を遂げます。自分では気付かない潜在能力や魅力を引き出すのもメンバーの役目です。しかし、互いを深く知らなければ、それに気付くことはなでしょう。そのために多様な交流を図り、メンバー間の絆を強化していきます。


 また、私たちが活動・運動を持続するためには、円滑な組織運営が不可欠です。円滑な組織運営をするためには、ルールの遵守と相手を尊重する心が重要だと考えます。コミュニケーションツールの発達により、意思の疎通が希薄化されたように感じる現代において、相手にまごころをもって接し、規律をもって行動することさえできれば、自ずと円滑な組織運営に繋がります。これまでの歴史と伝統を継承し、新たな可能性を見出した時には勇気をもってチャレンジし、失敗しても改善を繰り返しながら組織の成⾧に繋げていきます。


創立60周年に向けて

 1963年5月24日、全国で239番目の青年会議所として、天草本渡青年会議所は誕生し、2023年に創立60周年を迎えます。60年という⾧きにわたり、天草本渡青年会議所が地域とともに在り続け、私たちが今こうして当たりまえのように活動し運動を展開できるのは、これまで多くの先輩方が天草を想い、時代に則した地域から必要とされる運動にご尽力されてきたことに他なりません。天草本渡青年会議所が積み上げてきた歳月は、多くの伝統と歴史に満ち溢れておりその功績は絶大です。本年、私たちは来る60周年に向け、万全の準備を進めていく一年にしていかなければなりません。先輩方が築いてこられた多くの伝統と功績を今一度見つめ、先輩方の想いに触れ、敬意と感謝の心で創立60周年に向けての準備を進めて参ります。


むすびに

 天草本渡青年会議所の⾧きにわたる歴史の一幕において、理事⾧を務めさせていただく責任の重みを充分に受け止め、誇りと感謝の心をもって職務を全うする所存です。

 「自分に正直に生きる。」いつもこのように思っています。自分だけはごまかせない、自分に正直であれば、自分にも他者にも誠実でいられると信じているからです。これは青年会議所に入会し、多くの先輩方や仲間と出会い、様々な経験から学んできたことでもあります。

 青年会議所は、大人になってからの学び舎と言われます。しかしそれは、青年会議所活動に全力で取り組む人だけに限られます。家族や職場の理解があってこその青年会議所活動です。そのことに感謝し、その恩に報いるためにも、全力で取り組み、様々な経験から得た学びを家族、職場に還元しなくてはなりません。それぞれに立場があり置かれた環境は様々ですが、天草本渡青年会議所の一員として目指す未来は同じです。

 一年間という限られた時間だからこそ、ひたむきに行動し、想いをひとつに、そして自分の信じる誠を尽くして参りましょう。一年間どうぞよろしくお願いいたします。


年間方針

基本方針

  1. 市民の意識を変革するまちづくり事業の実施
  2. 想像力豊かな青少年の育成
  3. SDGsの推進と実践
  4. 和を広げる交流事業の実施
  5. 天草を想う同志の拡大
  6. 創立60周年に向けた準備

運営方針

  1. 楽しく効率的な委員会の運営
  2. 柔軟で活発な議論ができる諸会議の運営
  3. 活気があり出席率の良い例会・事業の実施
  4. ルールを遵守し相手を尊重した組織運営