2023年度 理事長所信

はじめに

 昨今の世の中は目まぐるしい変化が起こっています。大規模な自然災害、感染症の蔓延、 世界情勢の変化、多くの事柄が IT 化するなど、良いことも悪いことも大きな変化の波の中 にあります。変化が起こっているということは、現況のままでは時代の流れに置いていかれ、淘汰されてしまう可能性が高くなるということです。生物の進化はまさに変化への対応で  す。環境の変化への適応、繁殖の仕方、構造の進化、能力の向上など、変化を受け入れ、進 化したものが今に繋がっているのです。それは生物に限らず、組織も同じです。変化に適応 しなくてはなりません。変えてはいけないものはありますが、変えるべきことがあることも また然りです。

2023 年、私たち一般社団法人天草本渡青年会議所は創立 60 周年を迎えます。60 年というのは人間でいう還暦です。「還」という漢字は「元の状態にもどる」という意味があります。そして、「暦」という漢字は「干支」という意味で用いられています。「還暦」とは、生まれた年の干支にもどることから、長寿を祝うとともに赤ちゃんに戻る、再スタートのような意味合いも持ち合わせています。まさに変化するには相応しい年ではないかと思います。今まで紡いできた歴史と伝統を胸に進化を遂げる年にします。


大好きな天草のために

 創立 50 周年の際に私たちは何が天草のためになるのか、どのような社会課題を解決することが持続可能な地域に繋がるのかを考え、地域の皆様にアンケートを取り、あまくさ運動指針として、天草の人口に寄与する活動「人口革明」を提唱しました。

「人口を呼び込む」「人口を減らさない」「人口を増やす」これを掛け声に 2013 年より取り組んでまいりました。取り組み当初は、若者の流出に着目しました。天草にある看護系教育機関の人員増を目指し、若者の流出を止め、さらに呼び込むことを考えていました。多くの関係団体に協力をいただきながら挑戦しましたが、過ぎ行く時間の中で需要にも変化が見られ、この動きは一時休止をすることになりました。しかし、歩みを止めることはできないと、次の目標を定めました。それが「天草の海の更なるブランド化」です。これは人口革明の「人口を呼び込む」に特化した目標です。大小様々な島から成り立つ天草諸島、見渡せば素晴らしい海が目の前にあります。この貴重な資源をもっともっと地域にとってかけがえのないものにしたい。地元の方も遠方の方にとっても共通の財産にしたい。それに寄与することにより地域の活性化、交流人口の増加に繋げるという取り組みです。2021 年には「あまくさ海の日」という、天草の海に想いを馳せる日を 7 月の第一日曜に定め、それを天草地域に根付かせ、ブランド化を促進する動きを始めました。2022 年には「あまくさ海の日フェスタ」を開催し、天草の海を感じて、考えてもらう取り組みを行いました。2023 年はあまくさ運動指針も 10 年目を迎えます。区切りの年として、本年度は 10 年間を検証し、これからも持続可能な天草を目指し、寄与できる事業を展開してまいります。


未来ある子供たちのために 

 「知る」ことが私は1番の娯楽だと考えています。子供が親の話を聞かずに一心不乱に砂山を作ったり、絵を描き続けたり、おもちゃで遊ぶ。これは、砂山の作り方や絵の描き方、おもちゃの使い方や遊び方を知ったからこそ、その楽しさに気づき、無我夢中になっているのです。興味や関心も知ることから始まります。多くのことを知り、興味を持つことは、「これから」を生きていく子供にとって、進むべき道標となるものです。知らないこと、知らない場所に身を置くことで豊かな感情は刺激され、多くの可能性をつかむきっかけとなるはずです。本年度も子供たちに知ることを体感し、未来に向かって希望をもってもらえる青少年健全育成事業を行います。


友好を紡ぐために

 1985 年、「子供たちの文化交流を図ろう」という目的をもって始まった南北交流事業。北国探検隊、火の国探検隊、相互に赴き、取り組んでまいりました。1993 年の天草本渡青年会議所の創立 30 周年時に「友好の証」を結び、さらに交流を深めました。そして 2008 年には南北交流事業は役割を終え事業は一区切りを迎えましたが、友好の火は消えることなく、2010 年には「名寄天草心の交流締結書」を結び、より一層の交流と友情を育んでまいりました。2023 年は諸先輩方が紡いでこられた友好も 30 年という節目の年となります。この熱い想いと友情を後世へも繋ぎ、お互いの郷土の発展につなげていくためにも更なる友好を深める機会を作ります。


交流は誰がために

 毎年、交流事業として当会議所は天草の伝統芸能であるハイヤ踊りを継承していくことに寄与するため、牛深ハイヤ祭りや天草ほんどハイヤ祭り道中総踊りなどハイヤ踊りを行う行事への参加、天草南風凛風会様と一緒に天草の小中学校へハイヤの指導に行くなどの事業を行ってまいりました。このように地域に根付く文化を絶やさない活動を行うことも、持続可能な地域づくりにとって大事なことです。今年もそれを絶やすことなく継承していける運動を行います。


拡大するために

 拡大は会の存続のためにも必要なことです。しかし、拡大は存続のために行うことが目的なのでしょうか。また人を増やすことだけが拡大なのでしょうか。私は拡大を私たちの行っている JC 運動に共感してもらう仲間を増やしていくことだと考えています。また増やすことだけでなく、退会者を減らすこと、組織に魅力を感じていただくことだと考えています。本年度は、まずは会員にしっかりと活動の目的を理解いただき、再度、意識の統一を図ります。そして、一人でも多く、私たちの運動に共感する仲間を作り、JC 運動を波及させていくことが、明るい豊かな社会の実現に近づくと信じています。


組織継続のために

組織は何のためにあるのか。「組織」という言葉を辞書で引いてみると「ある目的を目指し、幾つかの物とか何人かの人とかで形作られる、秩序のある全体。」とあります。では、青年会議所という組織の目的とは何か。青年会議所は、「青年が社会により良い変化をもたらすための発展と成長の機会を提供する」という JCI ミッションを掲げています。ミッションとは「使命」です。言い換えれば「目的」といってもいいと思います。私たち青年が、社会により良い変化をもたらす力、つまり運動を起こす事ができる様になるため、発展と成長の機会を提供することが必要なのです。そのためにも組織は会員が成長できるような環境を作る必要があります。時間を作ることも勉強ではありますが、時間を割きたいと思えるような組織づくりをしていきます。そして、会員に発展と成長の機会を提供することで、目的を達成するための能力を向上させ、社会にもより良い変化を起こしてほしいと考えています。


これまでとこれからのために

 天草本渡青年会議所は、1963 年 5 月 24 日に全国で 239 番目の青年会議所として誕生し ました。それから  60  年という長い時間をこの地域と共に歩んできました。これは一重に、諸先輩方の個々の英知と行動を起こす勇気と地域を想う熱い情熱を活動に注いでいただいたこと、それを支えていただいた地域の方がいてくれたからです。また、存続してきたということは必要とされてきたという証です。これからも地域に必要とされる存在であり続けなければなりません。そのためにも本年度は尽力を注いでこられた先輩方、そして支えていただいた地域への感謝の想いを伝える年にしてまいります。


結びに

 私たち JAYCEE の役割は地域の社会課題を解決し、明るい豊かな社会の実現をすることです。その地域を形成しているのは「ひと」です。ひとが豊かになれば地域も豊かになると私は思います。だから、天草本渡青年会議所のメンバーには悔いのない時間を過ごしてもら
いたい。自分の理想の実現に一歩でも近づいていただきたい。それが、徐々に波及していくことで、家族が良くなり、会社が良くなり、関わる周りが良くなり、地域や国がよりよい姿へと進化していくと信じています。理想でもきれいごとでも、夢を持ち、夢を描きながら本年度、理事長といういただいた役割を果たし、メンバーと共に勇往邁進していきます。


年間方針

基本方針

  1. 意識ある会員の拡大
  2. 未来に希望抱く青少年の育成
  3. 持続可能なまちづくりの推進
  4. 想いを共有できる活発な組織の実現
  5. 活動の積極的な 発信
  6. 会議のスムーズな進行
  7. 会員の学びになる研修の実施
  8. コンプライアンスチェックの徹底

運営方針

  1. チャンスを掴む為の出席率向上
  2. 目的意識を持った円滑な組織運営
  3. 前向きな言葉での会話